ドラッカーといえば、書店のなかでも、少し前までは、自分がもっとも近寄ることの少ない場所にその著作があった人だ。
経営学とは、人や組織やさまざまな集団を扱う学問だ、ということになっているが、そういうことは自分とは無縁なことなのだと思い込んでしまうことで、たくさんの初歩的な失敗を繰り返してきたのが、私の青春だった。
少し前、日経の最終面に連載されていたエッセイに目を通すことがあり、そこから初めて、この人の著作を少しだけ読むようになった。
もっと早く気づけばよかったな、というのが自分の正直な感想だ。
ヒットラーの支配力が高まっていくオーストリアからアメリカへ。20世紀のまっただなか、ドラッカー氏のたどった冒険は、数奇というしかない。
謹んで哀悼の意を捧げます。