思い切り没頭したあとは、モノの見方を変えてみよう。
 
<< 参加型ジャーナリズム+apple訴訟+ダン・ギルモア=? | main | 中国反日デモをどう理解するか >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

【2006.02.24 Friday 】 author : スポンサードリンク
| - | - | - |
参加型とは別のネット・ジャーナリズムのあり方
R30さんのところに「新卒学生に見放されるマスコミ業界」ということで、新卒学生の動向が記載されていました。学生は、目先のことだけには敏感なので、自分が40-50と高齢化する頃にはその選択がたいてい失敗している、というのが相場です。だからといって、マスコミ、安泰では全然ないと思うのではありますが。

さて、偶然発見したhttp://www.mediologic.com/weblog/というblogサイト。

自分の思っていることがドンピシャ書いてあったので、トラックバックします。拝見したら、大手の広告会社の仕掛け人のような方。高広さん、さすがだなーと思いました。

http://www.mediologic.com/weblog/archives/000366.html

Mediologicの高広さんは、MSN-Mainichiの特集「ネット時代のジャーナリズムとは何か?」を紹介する中で、以下のように解説している。

新聞含むニュースメディア=ジャーナリズムには本来2つの機能がある。

一つは、正確かつ客観的に「情報」を伝える機能。
もう一つは、その「情報」をもとに「オピニオン」を伝える機能。

この後者が「社説」に当たるものである。

「社」が伝えるものではあるが、一方で新聞記者においても世代やその他によって違った意見があるに違いない。むしろ新聞社においても、「社説」は一つであっても「”者”説」はいくつもあるだろう。



まったく同感。
あたりさわりがなく焦点がぼけていたり、目くそが鼻くそを叱るような偽善的な「社説」を出したり。それはかっこ悪いだろう。

社としての意見は統一しなくていいから、記者の「者説」をそのまんま出せば、もっと生き生きとした媒体になれるのではないか、ということ。

高広さんの「社説」と「者説」、という切り口はすごいです。新聞社の社説って、あいまいで通り一遍であったりもし、ときとして強い違和感を覚えますが、ちなみに、こうしたところにしっかりとロジックで切り結んでいるのが「極東ブログ」のfinalventさん。

一方で、一般の記事を見ると。

同じ会社の記者なのに、言っていることがみんな違っていそうな毎日新聞の話。しかし、記者の顏の見える報道、を進めている毎日新聞自身は、一方で、売上ベースでけっこう苦戦しているという事実もあるとか。

しかし、「記者の顏が見える報道」が原因で売上ベースが伸びない、ということは、実は、ありえないはず。ガ島さんがどういう結論を出すか、気になるところ。

まったくの素人だが、ちょっと考えてみる。

私がたとえば、裁判員制度について強い関心を持っているとする。裁判員とは、日本での陪審員制度のようなもの。一般人が裁判の裁定に参加するという新しい司法制度である。この件について、ある記者が調査報道を継続しており、その記者の報道を、私は特に注目しているとする。

ところが、新聞「紙」という形態で入手する日々の紙面のどこに、彼の調査報道が書いてあるか全然見えない。掲載予定もわからない。欲しいものが手に入らない、という、商品流通としての大きな欠陥が、現行の新聞「紙」にはある。

「いつ、とは断言できないですが、この記者の記事ものりますよ」といういいわけで記事のセット販売をしているのがいまの新聞社の実情。実際は、この新聞のあの記事とあの記事は欲しいけど、この件に関してはあっちの新聞のあの記事と…、といった購入は不可能。

新聞社としては、「記者の顏が見えるような報道」を続けることもできるのだが、一方、販売形態は昔のまま。顏の見えない記事のセット販売を行うものだから、新聞を読むのがおっくうになってくる。

ドラッカーの随想も終わったし、まあ、日経はしばらくいいや、とかいうことにもなる。読まないものはとらなくていいだろう、ということで新聞をやめてしまうわけ。

いままでは、ここに不安感があった。もし新聞をとらないと、仕事先や交遊関係の中で、とんでもない情報ギャップが生じて、はじをかくのではないか、という不安。ところが、これだけ世の中が複雑化し、職業の多様化も進んでくると、一方で、新聞の専門性の浅さが目立つようになってくる。また、他方では、インターネットが、高い専門性をもって、新聞よりはるかに先行した情報提供をはじめている。

たとえば、スーダン、ダルフールの問題は、新聞がとりあげるより何カ月も前に、極東ブログさんが取り上げていた。日付を見ると、一年前だった。

rssという技術を利用すると、自分の信頼できる人の「者説」をダイレクトに講読できる。セット販売よ、さらば、なのだ。

もし、本当に、「記者の顏が見える報道」がなされ、販売形態もそれに対応できるようになったとしたらどうだろう。

優秀な記者にとっては、すごいことになる。

「いま、自分のrssを個別指定している読者が、このまえの特集で一気に5万人増えて25万人になったので、予算局からの取材費割当が増えて、専属バイトを雇えることになった」とか「固定読者が30万人になったので、人事局から異動オプションをもらえた。これで次のタイミングでニューヨーク支局に行こう。僕のrss講読読者にだけ先行通知しておこうか」とか。それはもうすごい競争ですよ。

優秀じゃない記者だと、「本社社会部チームにいるのに、読者獲得の実績が全然あがっていないため専属バイトは取り上げ」とか「地方支局から出直してこい」みたいなことになるだろう。こわい世界であるが、ダイナミックな世界でもあるぞ。

個別の記者の顏を知らない人は、経済中心のエコセットとか、社会ネタ中心のソサエティセットとか、大学受験対応セットなどを講読すればよろしい。セットの選び方によっては、朝日新聞なのに右派、みたいなセットも選択可能になってたりするんだろう。変化に対応できれば、の話だが。

とにかく「記者の顏が見える報道」が原因で売上苦戦だという根拠は絶対にないからな。

今の新聞はとにかく売り方が悪い。インターネット時代のツールを使え、と。後はまあ、経営者の問題です。技術の問題ではなくなっております、すでに。

別に、参加型だけがネットジャーナリズムじゃないんだよね、と。

まあ、そういうことを考えたのです。

※追記
記事のパッケージ化についての問題点を、本職の方がもっとまっとうな形でまとめておられました。「札幌から ニュースの現場で考えること」

※追記2
マーケットの馬車馬さんが、別の角度から、記者のフリーエージェント制度、というか、記事スペースを個別コンテンツ作成者に提供する伊勢丹型新聞社経営について語っている。時期は違うのだけど、だんだんみんな、似たようなことを考えはじめているんだなと思いました。ただ、首都圏で売上部数が伸び悩むという現象はあるものの、大手新聞社はまだまだ利益を出すことができるため、変革の可能性は短期的には皆無だろう、というのが私の見方。ある日、突然、なだれのような売上低迷ショックがはじまり、あれあれという間に、手を打つことができなくなり、一気に経営低迷化する、というのが一番ありそうなシナリオ。あと何年だろうか?

【2005.04.13 Wednesday 11:49】 author : katz
| - | comments(6) | trackbacks(12) |
スポンサーサイト
【2006.02.24 Friday 11:49】 author : スポンサードリンク
| - | - | - |
この記事に関するコメント
これ、すっごく面白いですね!湯川さんのブログにトラックバックしておけば、未来の新聞社の姿というので本に取り上げてもらえるかもですよ!
現実の新聞社でこれをやろうとしたら、社内がひっくり返るほどの反発が起きると思いますが(笑)。
| R30 | 2005/04/13 1:22 PM |
おお。R30さん。ゆっくりとではあっても、こういう方向にいかないと、次の10年くらいで新聞社、なくなってしまうような気がしますよね。
| miyakoda | 2005/04/13 3:54 PM |
トラバありがとうございます。

マスメディアとネットとモバイルの3つに関わる立場からすれば、ライブドア問題なんて序の口です。そんなに大きな話ではない。

既存のテレビの中でまだまだやれてないこともたくさんあるし。

”放送と通信の融合”って言葉自体古臭く感じるし、もっと先をみて仕事してますよ(^^;;
| タカヒロノリヒコ | 2005/04/13 10:49 PM |
はじめまして。高田と申します。トラックバックありがとうございました。

この問題、考え始めたらキリがなくて、呆然とすることもしばしば、です。ただ、最近はニュースを流す方法よりも、何がニュースかに関する社会の価値観の変化をもっと見極めないといけないな、そうしないと、新しい手法の議論を進めても、どこかで大きなズレが生じそうだな、と漠然と考えています。

これをご縁にこれからもどうぞよろしくお願いします。
| 高田昌幸 | 2005/04/14 2:33 AM |
タカヒロさん、コメント、ありがとうございます。
古いメディアの世界の方は、広告より自分のほうがえらい、と思っているので、マーケティング的な方法論や考え方についていけないのではないかと想像しています。いや、そういう既成観念自体がまずいのかな?

高田さん、コメント、ありがとうございます。
「何がニュースかに関する社会の価値観の変化」。
まさに核心をつくお言葉だと思います。
| miyakoda | 2005/04/14 3:18 PM |
TBありがとうございます。コメントが遅れてごめんなさい。書こう書こうと思いながら仕事の山と体調の谷にはまっておりまして・・・

やはり、アイデアというのはある程度落ち着く場所に収斂されていくものなのかもしれませんね(落ち着く場所がひとつとは限りませんけど)。私は自分の経験その他から記者による者説に対してはどうしても悲観的になってしまうので、そういう部分は専門家に任せてストレートニュースの速度と精度と幅広さを競っていただきたいとは思いますが、最初から門戸を閉ざす必要はないですよね。よく考えたら。

どちらにせよ、ご指摘の通り新聞が売れているということがなにより改革を妨げているというか、少なくとも数字上はそれほど改革が必要とはされていないことは事実です。「みんなが知っていることを自分も知っておけばそれで十分」というニーズが大きい限り、マスメディアのありかたはなかなか変わらないのでしょうね。
| 馬車馬 | 2005/10/20 7:56 PM |
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://miyakoda.jugem.cc/trackback/104
トラックバック
堀江氏断固支持!(from毎日新聞)
ホームページ制作 毎日新聞のネット版・インタラクティブ「記者の目」に「堀江社長批判への反論」がアップされています。デジタルメディア局の柴沼氏による記事で、同じテーマで堀江氏批判を書いた自社内の記者への反論という形になっています。記者の目で
| ガ島通信 | 2005/04/13 5:29 PM |
ネット時代のジャーナリズムとは何か? ~ 「社説」と「者説」
いま、この特集が面白い。 ■特集 ネット時代のジャーナリズムとは何か? (MSN...
| mediologic.com/weblog | 2005/04/13 7:25 PM |
働いてる様子がよくわかります。
■ Agency Net 海外のインタラクティブエージェンシーの自社サイト。 俯...
| mediologic.com/weblog | 2005/04/13 7:27 PM |
ネット(ブログ)は新聞を殺すのか
いったい、既存メディア(主に新聞やテレビなどの大手マスコミ)と、ブログなどのネットは、これからどうなっていくのでしょうか。「ネットは新聞を殺すのかblog」などに刺激されて始めたこのブログ(「札幌から」というタイトルが安直でイマイチだったと後悔してま
| 札幌から  ニュースの現場で考えること | 2005/04/14 2:29 AM |
ネットビジネスのバリューチェーン(その3)
 連載シリーズ第3回だが、今回は少し軽めの、というかつれづれ系の語りで行こうと思う。ゴリゴリのマーケティング理論やればやるほど反応が少なくなっていく気がするので
| R30::マーケティング社会時評 | 2005/04/16 8:27 AM |
記者ランキング制度をメインに据えるのはよろしくない、と思う
R30さんとこで褒めてたので読んでみました katz さんの「記者ランキング制度」。 「いま、自分のrssを個別指定している読者が、このまえの特集で一気に5万人増えて25万人になったので、予算局からの取材費割当が増えて、専属バイトを雇えることになった」とか「固定読
| Hooray Hoopla | 2005/04/18 11:41 AM |
記者ランキング制度をメインに据えるのはよろしくない、と思う
R30さんとこで褒めてたので読んでみました katz さんの「記者ランキング制度...
| Over 40 | 2005/04/28 5:06 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2006/11/30 1:13 AM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2006/12/05 11:22 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2007/03/30 3:32 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2007/04/21 10:43 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2007/06/26 7:47 PM |